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レーシックに関する訴訟


レーシックの安全性を伝える記事で、「訴訟大国のアメリカでさえ、年間100万件ものレーシックが行われているのに、訴訟が起こったという話は聞かない」と書かれているのを見ることがあります。確かに、そのような訴訟についてニュースで報道された例は知りません。

しかし、これはあくまでもアメリカの話ですし、マスコミが取り上げなければ例え訴訟が起こっていても、一般人が知るのは難しいかもしれません。そして、少なくとも日本では、レーシックについての訴訟が何件か起こっています。

レーシック関連の訴訟事例として有名なのは、2000年に大阪地裁で争われた二件の訴訟です。どちらの訴訟も、レーシックを受けた後に視力が低下した原告が、レーシックを行った眼科を相手取って起こしたものです。

二つの訴訟のどちらにも共通するのは、インフォームドコンセントの欠如です。つまり、医療行為について、患者の理解を充分にするための医師の説明が足りなかったということです。

それに加え、どちらの訴訟でもそれぞれ医師の過失が認められています。訴訟Aの場合は、フラップの断面が整っておらず、その上フラップがずれて固着してしわが寄り、視力低下と不正乱視を引き起こしたと認定されています。訴訟Bでは、フラップを薄く作り過ぎ、その後角膜が濁りを起こして再手術をしたため、角膜が薄くなって不正乱視を引き起こしたとされています。また、フラップを戻す際に点眼による保護を怠ったとの指摘もされているようです。

この二つの訴訟の他にも、同じく医師の説明不足と視力悪化を理由に訴訟を起こし、後に和解となった例も確認できます。すべての判例を検索すれば、他にも何件かの訴訟が起こっている可能性も否定はできません。また、日本よりも早くレーシックが普及していたレーシック先進国の韓国でも、角膜の異常を見逃してレーシックを行い、患者が後遺症を残したとして、医師が賠償命令を受けた訴訟事例もあります。

これらの訴訟では、すべての例において「インフォームドコンセントの欠如」もしくは「医療過誤」が認められます。医師が適切な説明、検査、手術を行えば90%前後、もしくはそれ以上の確率で安全に結果が出るとされるレーシックですが、医師のモラルや技量によっては、訴訟沙汰になるような結果になる可能性も0%ではないわけです。

しかしながら、レーシックに関する訴訟はほとんどが2000年前後に提訴されたもので、ここ数年の間に訴訟が起きた事実は確認できません。レーシックの技術が進歩したことや、レーシックに関する患者側の理解が深まってきていることも、訴訟が起こらなくなった理由の一つですが、他にも理由はあります。それは、「同意書」の存在です。

例に挙げたような訴訟が起こった後、各医院はレーシックについて適切に説明を行ったことを書面で残すため、手術前に同意書に署名・捺印してもらうよう徹底しています。これによって、患者は医師の説明を受けたと認めてからでないと手術を受けることができなくなり、手術を受けた患者が医師の説明不足を理由に提訴することはなくなりました。また、医師が説明したにも関わらず、患者が聞いていなかったというような事例も起こりにくくなりました。

自分の大切な目に手を加える以上、患者も手術前にレーシックのことを充分に理解しておかなければなりません。その意味においては、同意書への署名と捺印が徹底されたことは、良いことだと言えるでしょう。

しかし、医師の過失によって合併症が出たのであれば、同意書にどのようなことが書かれていたとしても、患者には賠償を求め裁判を起こす権利があります。とは言え、そんな場合に「これは医師の過失によるものだ」と証明するのは、素人には難しいことです。そのため、悪質な医師の医療過誤を証明できない患者が、泣き寝入りしているような例が無いとは言い切れません。

以上の事例から読み取れるのは、当たり前ですが、どんなに安全だと言われる手術でも、医師のモラルや技量が低ければ結果は伴わないということです。「レーシックは安全」という言葉の意味は、「失敗はない」という意味ではなく、「適切に行われれば、高確率で成功する」という意味なのです。訴訟沙汰になったり、訴訟できずに泣き寝入りするような事態にならないためにも、病院・医師選びはレーシックにおける最大の山場だと肝に銘じておいてください。適当に選んで後で後悔しても、救ってくれる人はいないかもしれません。

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