角膜上皮細胞の侵入

レーシックでは、角膜表面にある上皮細胞層と、その下にあるボーマン膜を残し、そのさらに下にある角膜実質層という部分を切ってフラップを作ります。この点は、PRKやエピレーシック、レーゼックなどの表面照射手術と大きく異なる点です。
しかし、このレーシック特有の特徴が引き起こす合併症があります。それが、「エピスィリアル・イングロウス(Epithelial Ingrowth)」です。これは、“上皮(epithelium)”が“内側に向かって成長する(ingrowth)”という意味の医学用語です。日本ではまだ一般的に訳されていないので、「エピセリアル・イングロース」や、元になった上皮という意味の“epithelium”という単語を使った「エピセリューム・イングロース」など、様々な呼称が使われています。
この合併症は、その名の通り、角膜上皮細胞が内側に侵入してきてしまうというものです。レーシックの手術後に、フラップの着き方が甘い場合、もしくはフラップ切断面の洗浄が適切に行われなかった場合などに、フラップの切断面に向かって上皮細胞が侵入してきてしまうのです。上皮細胞は再生能力が非常に高いため、しっかりとフラップが閉じていないと、このような合併症を引き起こします。
エピスィリアル・イングロウスが起こると視力が低下しますが、フラップを再びめくって洗浄するなどの処置で改善することができます。フラップが安定した後であれば起こる心配はありませんが、術後しばらくはきちんと病院で経過を見てもらい、このような合併症が起きていないかをチェックしてもらうことが重要です。早期に発見できればすぐに対処することも可能です。
上皮細胞をはがす、あるいはフラップとして残したあとに脱落するPRKやエピレーシック、レーゼックでは、このような合併症が起こることはありません。
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