イントラレーシック

イントラレーシック(Intra LASIK)とは、フラップを作る際にアメリカのイントラレース社(IntraLase Corp.)が開発した“イントラレーザー”と呼ばれるレーザーを使用するレーシックのことを言います。従来のレーシックとの違いは、フラップの作り方です。
従来のレーシックでは、マイクロケラトームという電動の“かんな”のような機械を使って角膜の表面を切り、フラップを作ります。吸引リングという器具に眼を固定した後、金属の刃がスライドして角膜表面を切り進み、フタ状のフラップを形成します。これに対してイントラレーシックでは、角膜に平面のガラスを押し当てて固定し、そのガラスから一定の深さの細胞の水分を蒸散させてはがします。そして、エッジの部分は垂直にはがして切り、フラップを形成します。

イントラレーザーは、フラップの作成に使われるもので、角膜の切除は従来のレーシック同様エキシマレーザーで行います。ですから、従来のレーシックとイントラレーシックの違いは、マイクロケラトームでフラップを作るか、イントラレーザーでフラップを作るかということになります。
フラップ形成にイントラレーザーを用いる主なメリットは、以下の四つです。
(1)精度の高いフラップが作成できる
イントラレーザーは、コンピュータ制御で任意の一定の深さを正確に切ることができるため、フラップの深さに誤差が少なくなります。角膜の凹凸やゆがみにも影響されないので、フラップの厚さにもばらつきができにくく、フラップの一部に穴が開くなどといった失敗も起こりません。
(2)より薄いフラップが作成できる
コンピュータ制御で深さを設定できるイントラレーザーの方が、マイクロケラトームよりも薄いフラップを作ることが可能で、より角膜が薄い方にも対応できる可能性があります。エピレーシックやレーゼックではさらに薄いフラップを作成しますが、イントラレーシックやレーシックのフラップは角膜上皮とボーマン膜より下を切ることで、この二つの細胞層を残してフラップを作ります。フラップの厚さのみでエピレーシックやレーゼックと比較しても、あまり意味はありません。イントラレーシックは、角膜表面の二つの細胞層を残しつつ、より薄いフラップを作れるということになります。
(3)フラップの安定性が高い
マイクロケラトームでフラップを作ると、エッジ(フラップの端、まわりとの境目)の部分はなだらかな曲線になりますが、イントラレーザーで作られたフラップはエッジが垂直に切られています。フラップを、エッジにひっかけるようにして元の位置にぴったり収めることができ、術後にフラップがずれる可能性が低くなります。
(4)衛生・安全面で優れる
マイクロケラトームの刃は金属や鉱石などでできています。そのため、取り扱いの注意とメンテナンスを怠ると、金属の粉が目に入って合併症を引き起こしたり、金属アレルギーを起こす可能性があります。マイクロケラトームの刃は使い捨てで衛生的ですし、医師の不注意がなければこのようなことが起こる可能性はかなり低いのですが、イントラレーザーであればその可能性自体がありません。
また、この他に「刃が切り進んだ跡が残らない」というメリットもあります。マイクロケラトームは刃を往復させながら角膜を切り進んで行くため、フラップ作成時に刃の軌跡がわずかに残ってしまいますが、イントラレーシックは一定の深さを正確にレーザーが捉えて細胞をはがすため、刃の痕跡が残ることはありません。ただし、マイクロケラトームの刃の軌跡は非常にわずかに残るだけで、視力に重大な影響を及ぼす可能性はほぼありません。この点はそれほど重視しなくても良いでしょう。
このように優れたメリットをもつイントラレーシックですが、設備が非常に高額なため、日本でイントラレーシックを導入している病院はまだまだ少数です。また、イントラレーシックには特有の合併症があるとして、導入を見送る眼科もあるようです。
一部の情報では、イントラレーシックを受けた患者は、物を見るときにまぶしさを強く感じる羞明症(しゅうめいしょう)が出やすいとも言われています。しかし、イントラレーシックは元より、レーシック自体もまだまだ新しい技術という状況なので、肯定論と否定論のどちらもまだ確定的とは言えません。現時点で言えるのは、確かなメリットはもっている手術法だということです。
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