

レーシックのメリットとリスクを踏まえたところで、次にレーシックによりどれくらいの矯正効果が得られるのか、具体的に見ていきたいと思います。
レーシックの矯正力
レーシックでは、基本的に患者の視力を1.0以上にすることを目標にして行われます。以前のレーザー手術では強度の近視に対応することはできませんでしたが、最新技術を用いたレーシックでは対応可能な範囲が広がっています。
具体的には、およそ6D(ディオプトリ)までの矯正が基本的な適応範囲とされ、手術をするのに充分な医学的根拠がある場合は、10Dまでの矯正が行われます。
ここで、レーシックとは切っても切り離せない「ディオプトリ(D)」という単位についてご説明します。視力は、遠く離れたものを見ることができる程高くなるものですが、レンズの度数を表すには、視力とは別の「ディオプトリ」という単位を使用します。人の角膜もレンズと同じ構造を持っているので、その度数を表す時には視力ではなくディオプトリを用います。
ディオプトリを測るには、まず焦点距離を調べます。焦点距離とは、物を見た時に眼の焦点が自然に合う距離のことです。裸眼の状態で、本や文字を遠くから少しずつ眼に近づけていくと、ぼやけていた文字がはっきり見え始めるところがあると思います。その地点から眼までの距離が、焦点距離です。この焦点距離をメートルに直し、この数で1を割ったものがディオプトリとなります。近視の場合は“−”、遠視の場合は“+”をつけて、表します。
例えば、焦点距離が50センチ=0.5メートルであった場合、1/0.5=2となり、ディオプトリ値は2です。50センチまで近づかないとはっきり見えないということは近視なので、この眼は「-2Dの近視がある」ということになります。
理論的に言うと、6Dの矯正ができるということは、-6Dの近視の方の眼を±0Dの正常な眼に矯正できるということになります。レンズの度数を表すディオプターは遠くの物が見えるかどうを表す指数ではないので、単純な置き換えはできないのですが、-6Dで視力0.1未満の方の眼を、±0Dの視力1.0以上に矯正することも可能だと言えます。
ただし、視力がだいたい0.1を下回る、-2Dを超える近視の場合、視力からは近視の度合いを正確に測ることはできません。同じ視力0.1未満で、視力の数値にそれほど差がないように見える方でも、近視の度合いにはかなりの差がある場合もあります。例えば、視力0.1未満で-6Dの近視の方もいれば、-20Dの方もいらっしゃいます。視力の差は0.1未満であっても、ディオプトリではかなりの開きがある。
そして、近視の度数が-6Dの方であれば±0Dにまで矯正できる可能性がありますが、-20Dの方では、最高でも10Dの矯正しかできないため、-10Dにまで近視を軽減するというレベルに留まります。-20Dというのは極端な例ですが、ここまで強度の近視がある方は、矯正後も1.0の視力を確保するのは難しいでしょう。
ですから、レーシックを行っても、単純に「視力がこれくらい良くなる」ということは言えません。視力云々ではなく、近視や遠視を限度内で矯正するための手術だという点は、認識しておく必要があります。
とは言え、-6Dの眼が±0Dに矯正されるというのは、17cmほどより近くのものでないとはっきり見ることができなかった近視が、裸眼で生活するのに問題のない状態にまで矯正されるということですので、矯正力の高さはお分かりいただけると思います。
レーシックの費用
レーシックは、国民健康保険を適用することができないため、自由診療となります。自由診療とは、病院が自由に料金を設定できる診療です。そのため、料金は病院によってまちまちです。また、レーシックを行うには、巨額な設備投資や専門技術をもったスタッフの確保が必要なので、投資した金額を回収するために料金はかなり高めです。
主な病院の料金のだいたいの価格を調べてみると、両眼の手術費用は10〜50万円と、安い病院と高い病院とでは、かなり差があることが分かります。料金設定には、先に述べました設備投資と人件費の他にも、その病院が行っている診療の範囲や患者数、レーシックに関する方針などの色々な要素が関わってきますので、場合によってはもっと安い、あるいは高い病院もあるかもしれません。
レーシックを受ける立場の方がここで気になるのが、「安ければ悪くて高ければ良いのか?」という点です。高額な設備が必要で保険も利かないのであれば、ある程度料金が高くなるのは当たり前ですから、あまりに安いと「何か裏があるのでは?」と勘ぐりたくなるのも当然です。
しかし、一方ではレーシックを行う病院同士での価格競争が激化しているという事情もあります。安価に手術を行う病院が出てくると、患者がその病院に流れてしまうため、他の病院も料金を下げざるを得ない状況になってしまうのです。このような価格競争が行われたためか、日本でレーシックを受けるのにかかる費用は、アメリカなどのレーシック先進国に比べて安くなっていると言われています。
「安い=悪い」と一概に決めつけることはできませんが、料金を安く設定している病院が、価格競争の波に飲み込まれている病院であることは間違いありません。料金が安いので患者が集まり、症例数や経験の豊富さにつながるというメリットもあるかもしれませんし、1日にこなす手術数が多すぎて他院に比べてアフターケアがおろそかという病院もあるかもしれません。
結局のところ、料金だけでその病院の善し悪しを判断することはできません。手術を受ける前にはいくつかの病院をまわり、設備や対応と料金を見比べて判断する他ないようです。他院とあまりにかけ離れた料金設定であるならば、直接その理由を聞いて、納得のいく説明を求めるのも良いでしょう。
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