

「(2)レーシックの意義」では、メガネやコンタクトレンズなどの、手術を行わない矯正器具と比較して、レーシックのメリットをご説明しました。次に、他の手術法との比較で、レーシックのメリットを見ていきたいと思います。
RKとの比較
レーシックでは、エキシマレーザーというレーザー光発生装置を使って角膜を削って矯正しますが、この装置が開発される以前の視力矯正手術として広く行われていたのが、「RK手術」です。RK手術は、角膜の中央部を避けた周辺部に、時計の文字盤の線のような均等な放射線状の切り込みを、メスで数本入れるという手術法です。
角膜の周辺部に切り込みを入れることによって、眼球内部の圧力が切り込み部分に逃げ、結果的に角膜のカーブが緩やかになります。この作用のおかげで近視が和らぐというわけです。また、切開の方向を変えることで、乱視の矯正も可能です。しかし、角膜を切開するため、傷が治癒した後も角膜の強度は落ち、再手術も難しくなります。また、強度の近視は矯正できず、術後にやや遠視化する傾向が見られる場合もあります。さらに、執刀医の技量や経験によって効果が左右されやすいという側面もあり、効果も安定しません。
これに対してレーシックは、手術後の視力が安定しない場合、角膜の厚みが確保できていれば再手術も可能で、エキシマレーザーによる角膜の切削はコンピュータ制御されているので、効果も執刀医の技量にあまり左右されずに安定しています。また、RK手術に比べると強度の近視への対応も柔軟で、乱視矯正の精度も高いです。
PRKとの比較
PRKとは、レーシックと同じようにエキシマレーザーで角膜を削って視力を矯正する手術ですが、フラップを作らないという点が違っています。PRKでは、角膜表面の上皮を薄くはがして、露出したボーマン膜と呼ばれる細胞の層と、その下にある実質層にエキシマレーザーを当てて、角膜を削ります。術後はだんだんと角膜上皮が再生していきますが、それまで角膜内部の実質層が直接空気に触れてしまうため、保護用のコンタクトレンズを被せます。それでも、術後数日〜一週間ほどは痛みを感じます。さらに、術後半年〜1年ほどはサングラスかけるなどして紫外線から目を保護する必要があります。
レーシックでは、フラップを元の位置に戻すため、術後は角膜の実質層が空気に触れず、痛みもほとんどありません。また、保護用のコンタクトレンズをつける必要もありません。さらに、角膜表面が再生するのを待つ必要がないので、PRKよりも早い時間で視力が安定します。
反面、PRKではフラップを作る際の合併症が起こらないという利点もあります。フラップを作る際に、つながっている部分を残さずに切り取ってしまった、フラップの途中に穴が開いてしまった、というようなミスが起こり得ません。また、フラップを作らないため、術後にフラップがずれるという心配がありません。しかしながら、角膜上皮を取り除いてしまうPRKでは、上皮が再生する際に角膜に濁りが生じる(手術で治療が可能)ことや、上皮が厚く再生しすぎてやや近視に戻るなどの症状が出ることもあり、フラップを作る際にミスが起こる確率も低いので、レーシックの方が安全性は高いと言えます。
レーゼック(ラセック)との比較
レーゼック(LASEK)は、角膜表面を数十秒間アルコールに浸して柔らかくして、非常に薄いフラップを作ってめくり、露出したボーマン膜・実質層を切削する視力矯正手術です。術後はフラップを元に戻します。フラップが非常に薄いため、フラップ作成による影響が少なくなります。また、フラップは新陳代謝によっていずれ失われ、手術跡がほとんど消えることも特徴です。術後にフラップを作った部分が安定して強度が失われないため、格闘技の選手などに向いているとされます。
しかし、角膜をアルコールに浸すことによる合併症の危険性が存在します。さらに、PRK同様、視力が安定するまで数週間〜数ヶ月がかかり、痛みも数日続きます。術後半年〜1年ほどは、サングラスなどで紫外線から目を保護する必要もあります。
対してレーシックでは、アルコールによる合併症の心配はなく、視力は早期に安定し、痛みもほとんどありません。
その一方で、レーシックのフラップを作ることができないほど角膜が薄い方でも、レーゼックならば受けることができる場合があり、患者の角膜の厚さによる制限が少ないという利点もあります。また、レーゼックのフラップは、後にはがれ落ちて新たな上皮が再生するので、フラップがずれるといった心配がありません。
三つの手術法との比較を踏まえて
RKと比べた場合、安全性や効果の面でレーシックの方が優れていることは、実際にRK手術がほとんど行われなくなってきていることからも明らかです。
しかし、PRKやレーゼックなどには、レーシックにはない利点も確かにあります。角膜の状態や近視の度合いによって、レーシックではなくPRKやレーゼックが適している場合もあると言えます。ただし、レーシックではPRKやレーゼックよりも進行した近視に対応でき、PRKやレーゼックでは強度の近視を矯正した場合に、上皮が再生する課程で角膜に濁りを生じる可能性が高くなるため、角膜の厚みが確保できている場合はレーシックを勧められる場合が多くなっています。
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